【書評】「バカ格差」 著者;谷本真由美著

本 読書記録 「バカ格差」 著者:谷本真由美著

 

 

Rickey(@tg677) and Instagram (rickey9.site)です。

 

 

久しぶりの読書記録。今回はTwitterアカウントで@May_Romaことコンサルタントで著述家の谷本真由美さんの「バカ格差」を読みました。

 

前作のワニブックスPLUS新書から出ている「不寛容社会」が大変おもしろかったので、今回もバサバサ切ってくれるメイロマさんの本を読みたかったのです。

 

「不寛容社会」の読書記録はこちら▼

 

この読書記録は書評のようなものではなく、自分が読書をした記録のためにブログとしてアップしているものです。読書記録のメモのようなものがたまたまブログにアップされているぐらいに捉えていただければ幸いです。

 

では、「バカ格差」を読んで気になったところをピックアップしていきます。

 

 

タワーマンションの階数格差

第一章の冒頭で日本にあるワースト5の格差を紹介。その中で記述されていたのがタワマンの階数格差について。

 

タワーマンションの住んでいる階数によって、格差があるということ。

 

 

面白かったのは、タワーマンションに住む住民の大半が田舎出身で、住人か夫か妻が東京出身の割合が20%程度というデータがあるという事実。

 

東京の場合、3代前が東京に住んでいることが東京人であるという目安であるととある本の中に書いてあったのを思い出しましたが、タワマンは田舎者の集まり、どこを田舎にするかによっても変わりますが、そう言われても致し方ないのかな〜とも思ってしまいます。

 

そして、欧州では人間としての幸福をもとめ、タワーマンションに住むのは貧しい人という考え方があり、裕福な人ほど週末は郊外の家に帰って過ごすと欧州でのライフスタイルが紹介されていました。

 

プロブロガーの立花岳志さんの様に六本木と鎌倉をデュアルライフをしているということなのですが、人間としての幸福、居住感性を大切にしているという点は日本人にはまだまだそういう感性が乏しいのかなと思ってしまいます。

 

AbemaTVを見ていた時に、高層階では、空気が薄く、子供の発育にも影響があるということが紹介されていました。エレベーターが朝は来ないとか、また上の階の人が優先とか、目に見えないルールがあるので、面倒くさいし、体に良くないですね。

 

特に地震があったら、逃げ場が無いですし、下層階で火災なんて発生したら大変です。

 

眺めがいいことぐらいしかメリットがないので、タワマンに住むことは色々なリスクが潜んでいることを承知の上で進めないといけないですね。

 

 

学歴バカ格差

日本はまだまだ学歴による差を感じたい、作りたい国ということが言えます。

 

著者はこのように日本の学歴格差について指摘します▼

 

何を学んだか?ではなく、良い学校に入ることばかりを重視し、暗記ばかりさせる日本の教育。新卒一括採用により、日本の社会の活性化がされず、人材が固定されるばかりで、日本社会から世界的な企業を排出出来ていないのです。

 

本当に確かにという感じ。日本に住んでいる私の肌感覚としても、「あの人は〇〇のプロフェッショナルだ!」という見方、何が出来る人という見方は少なく、「あの人は〇〇の大学を出ている」「あの人は〇〇の会社に勤めていた」というブランド思考の人が多いです。

 

少しづつですが、出身大学でカテゴライズされるのではなく、何が出来るかでカテゴライズされるような社会になっていって欲しいと願ってます。

 

情報のバカ格差

AIやIoTの分野の発達でホワイトカラーや中間層の働き方を大きく変えていく可能性があるということも著者は指摘しています。

 

今まで働くことが出来た分野が突然機会に取って代わられるようになってしまうようなこともこれからどんどん起こってくるでしょう。

 

そんな中でもまだ稼げるのが、プログラミングやネットワーク管理等々の分野だそうです。出来る人が少ない分、収入も高収入になります。

 

 

ITの分野で稼げるようになるために、子供の教育の段階でプログラミングを入れ込むことや、ITリテラシーをつねに向上させるようにすることが生き残るために必要だなと強く感じました。

 

情報、IT系のことについては、常にキャッチアップしないといけないですね。私は32歳でスマフォネーティブではないですが、PCのコトはほぼほぼ不自由なく使いこなせていますが、これが50歳代になると、ネットの繋ぎ方はプリンタの設定に1時間かかるような方や、ネットのフェークニュースに流されてしまったりと、、、世代によって、PC、ネット、情報との接続の仕方に格差があるように肌では感じています。

 

 

仕事に関する格差

厚生労働省によると、2016年の非正規雇用の割合は37.5%。1984年には15.3%という数値であったと紹介されていました。

 

一方で、他の先進国では「どこの会社で働いている」ということは重要ではなく、大中小企業であれ、会社は簡単にリストラをする。リストラを覚悟で働くのが普通だそうです。

 

日本では新卒一括採用が多いため、同期を気にしすぎる日本人が多すぎると著者も指摘します。これは私はそう意識したことはないが、一般の日本人には少なからず持っている感覚です。どこかでマウンティングしたくなってしまうのかもしれません。

 

そして、さらに言えるのは、精神的な繋がりの中で、同期は一緒なんだ、一体なんだという安心安全地帯という意識もあるのかもしれません。日本はみんな一緒が大好き。みんな中流と思いたいんですよね。

 

非正規雇用

イギリスのIT業界の場合、非正規雇用の方が稼げるということが紹介されていました。開発者は恒常的に人が足りず、IT業界も好況。仕事の需要は多く、さまざまな会社を渡り歩くことが出来るようです。

 

一方で日本では非正規をこき使う傾向があると著者は指摘します。非正規のスタッフに専門以外の分野をやらせたりしてしまったり。例えば、システムアナリストに営業や事務をさせてしまう。

 

仲間意識が強い日本ではなんでもみんなでやる。家族的なつながりを職場でも共有するため、こういう曖昧さから、非正規にもそのような細かなコトを仕事としてさせてしまっているのか、たんなる非正規に対する見下しだったり、嫌がらせだったりするのか、まったくわけが分かりません。

 

仕事における男女の格差が半端ない

厚生労働省によると、フルタイムで働く女性の平均賃金は男性のその平均賃金の73%であると紹介されていました。他の先進国とくらべると、まだまだ男女の差が著しく、先進国であれば、この割合は80%以上になるとのこと。

 

一方で、女性である著者が女性について、以下のように考えているのは、新たな視点でした▼

 

反抗しない日本人の女性。昔から良い子でありましょうと強いられ、我慢することに慣れすぎてしまい、反抗すること、意義を唱えることに慣れていなく、弱い立場にいることに慣れすぎてしまっているのではないか。

 

一方で欧州北部や北米では、結婚した後も女性は働きにでるのが当たり前であり、子供は安く預ける所があるから働くのが当たり前でしょうという考え方を持たされています。女性であるからということが免罪符になりにくい社会であることを紹介しつつ、日本の女性の慣れみたいなところが今まで自分になかった視点でした。

 

生まれついてのバカ格差

どの国もそうですが、地域、住んでいる所の格差は少なからずあるものです。住んでいる自治体によって、享受できるサービスが異なったり、考え方が似た人があつまったり、東京ですと沿線による格差も生じます。

 

2000年以降、地方から大学のために上京した女性がそのまま都心に残り就職する高学歴女性の割合が増えているそうです。私はちょうどその世代なのですが、肌感覚としては全然感じていないところのデータでした。

 

働きながら子育てをする人が増え、都心部、中央区や港区などの子供の人口が増えてきているようです。これも実際に都心部、とくに山手線の丸の中にすまないと分からないことですが、郊外に一軒家から都心部に人の流れが戻ってきているのかもしれません。

 

郊外といえば、東京の青梅などでは、限界集落に近いようなエリアも知人の話しからは耳に入ってきます。

 

夫婦で都心に住むことが増えた。2000年以降はインターネットの使用率が爆発的に増えていった。また先日読んだ本「縮小ニッポンの衝撃」では都市部であっても池袋の豊島区は人口減が進んでいるということも指摘されていました。

 

住む場所による格差。沿線による格差。

この章で面白かったのは、神奈川県の中でも格差があることを事例として紹介していました。

 

住む場所による格差で、ある調査では、田園都市線の宮前平、その宮前平の小学校の両親の年収が1044万円。一方で相模原市中央区が694万円というとてつもない格差があることがデータ的に分かっています。沿線による格差とも言えますね。田園都市線によるものでしょうか。

 

年収が高いエリアは不動産が高く、生活費も高い、よってある程度の年収がないと暮らしていけないという難しい一面もありますが、あえてそこに住むことによって、子供の教育環境はグンと上がるというメリットもあります。それは、周りに教育熱心な人が多いので、自然とそういう人からの情報が入ったり、駅前に進学塾が沢山出来ることによって環境が整うのではないでしょうか。

 

親から受け継ぐ格差

「親の教育で生まれるバカ格差」というものもあると著者は述べています。

 

佐藤俊樹著の「不平等社会 さよなら総中流」という本の中に次のようにまとめられているとのこと▼

 

高度経済成長時代に頑張れば自分も管理職になれる、平等な社会という総中」というものがあったが、よくよく考察すると、1985年時点の調査で40歳のホワイトカラーの管理職の中でその人が15歳の時に父親がホワイトカラーの管理職であった確率が95%であった。

 

これにより、親の職業と子の職業には強い相関関係がまだあることを指摘しています。そして、年々これによる格差が広がりつつあるというのが今の現状で、その格差にまったく気づいていない日本人が多いと警鐘を鳴らされています。

 

子供だけ高学歴というのは難しく、学歴も仕事もほぼほぼ相続されるようになっていて、根本的には変わっていないのが日本の現状のようです。

 

確かに周りを見てみても、親御さんの学歴レベルよりお子さんがそれを越えていい大学や職種に就かれている方って少ないかもしれません。

 

親御さんが勉強熱心だったり、向上心がある方の方が、それを真似してお子さんも熱心だったりするタイプが多いように感じます。要は親御さんの姿勢しだいでそれが伝わるというか、相続されるものなのですかね。

 

男女のバカ格差

本を読み進めている中でこんなデータもあるんだな〜と驚いてしまいました。著者が紹介していたのは、スイスの経済学者が設立した非営利団体である「世界経済フォーラム」が2016年に発表した男女平等度ランキング。

 

そのランキングによると日本は144カ国中111位であったとのこと。これは勿論だが先進国でも1番低いランク。こういうデータって絶対政府は発表しないですけれども、それだけ海外から見たら男女の格差の「差の部分」が日本の社会は開きがスゴイんだな〜と思わされました。

 

男女の格差を評価しているので、実際の生活のレベルには焦点が当たっていない点は注意した方がいいみたいです。

 

 

ヨーロッパに行かないので、実感がまったくないのですが、男女格差を少なくしたフランスは出生率が上がっているとのことでした。

 

日本にとって男女格差が大きいことが、少子化にもろに影響していることは否めません。アメリカやイギリスでは移民を受け入れて人口増を保っている。その国の国力に繋がる。

 

日本が経済発展をしたのは、人口ボーナス、人口増が続いたからだと指摘する学者さんもいます。男女格差を是正して人口を維持しないと、この国本当に潰れてしまいますね。

 

また、出産でキャリア中断させられてしまう日本人女性というのもなんとかしてほしいものです!このコトがあることによって格差ランキングに影響があることは否めません。

 

一端キャリアから離れてしまうと、高学歴の女性も初級レベルの仕事にとどまってしまう。人材の能力を活かしきれないことにも問題があると著者は述べています。

 

さらに、女性ということを逆手にとって、甘えている姿勢についても厳しいコメントをされています▼

 

一方で女性であることを利用して、女性であるから責任のある仕事や、高リスクな仕事を避ける人も結構いる。

欧州や北米で人前で泣くような女性は性格が不安定で成熟していない人だと思われてしまう。そして、仕事を任せてもらえない。

イギリスの場合、救急車を呼ぶと、女性だけの隊員の場合もある。

レディースデーや、女性を優遇するサービスなどを事例に挙げ、「日本人の女性に必要なのは本物の弱者に対する配慮だったり、本質的ではない女性優遇策を拒否する強さです」

「もしかすると、日本の女性たちは歪んだ女性優遇に慣れすぎてしまっていて、自分が世界の中心だと考えているではないかと思うのです。」

デート代をおごってもらいたいと思っている女性に対しては「女性が奢られて当たり前という文化は、男性に対する圧力でもあるのです。日本の女性は男女差別のない社会を作りたいのであれば、男性に対する社会的な圧力も減らしていかなければなりません」

 

私は男性なので、男性だから強くなければいけないとか、男性だから長時間働かせてもいいとか、男性だから危険な仕事をさせていいとかという風潮には嫌気がありますし、男性の〇〇さん、女性の〇〇さんではなく、◯◯のプロフェッショナルである◯◯さんという人として平等に扱って頂きたいなと思うことが時々あります。

 

世界のバカ格差

イギリスの「The Sutton Trust 」という団体が実施した先進国の主要11カ国を調査したデータが紹介されていました。

 

そのデータによると、アメリカが階層移動がもっとも難しい国という結果だそうです。その次はイギリス、フランス、イタリア、オーストリアと続く。※日本は調査対象に入っていない。

 

アメリカは世界一豊かな国であるものの、世界一階層移動が難しい国であったということは想像もしませんでした。American Dramがあると思い込んでしまっていたので、、、階層を上げるって本当に大変なことですね。住まないとわかんないですね。

 

 

こんなことも書かれていました。アメリカの就職において、雇用側として似たような人材がエントリーしてきた場合、すでにインターンシップの経験があったり、海外留学経験、親のコネがある人を採用するとのことでした。ですが、これは日本もあまり変わりないような気がします。

 

私の身の回りでも、テレビ局に就職した友人は親父さんがテレビ局の人ですし、商社に入った人も親父さんが商社マンでした。

 

 

日本からバカな格差をなくすためには

日本に住んでいると、格差を感じている人もいれば、メディアによって格差を格差だと感じないようにさせられているなど、差をつけることに異議を唱えたり、差について寛容でなかったりするような気がします。

 

著者は格差について本当に問題なのは、格差があることをあまり自覚していない人が多すぎる。」と述べています。

 

さらに、地元から一歩も外に出て暮らしたことがない人も結構いる。他の地域がどうなっているか知らない人も多いと指摘します。

 

実際に私が杉並の方に住んでいた時に、高円寺、阿佐ヶ谷エリアから出たことがない!その沿線から外にも出かけたことがない!という人が居ました。

 

高層マンションに住むような人は他の国ではステイタスがあるどころか貧困層と見られてしまうということもあります。文化の違いというか捉え方の違いは必ずどこにでもあるので、そういう多角的な見方を出来ることが大事なんだと思います。

 

視野を広げ、自分の軸をもつこと

まとめの方で、著者は次のように述べています▼

 

違う土地に旅行に行ってみたるすることが必要。違う価値観があることに気付く。違うことを知ることは人生を豊かにすること。それがリラックスした自分らしい人生を送ることに繋がります。

 

世界と比べると日本の格差はまだマシな方。しかし、それを知らない人も多いので、微小な格差に頭を悩ませてしまう人もいる。世界を知らないと視野がせまくなり、どうでもいいことで苦しくなってしまう。

 

自分自身の軸を持つということ。軸とは自分が信じるものであったり、自分が良いと評価するもの。

 

わかったこと!

やはり、日本という島国の特性上、動かない人が多い。そのため、価値観の固定や、集団的な意識が強く働くように無意識のうちになってきてしまっている。

 

そして、「差」について、それがあるにも関わらず感じられなかったり、メディアの情報操作によって、考える習慣を奪われてしまっているように感じます。

 

違うことにもっと寛容になったり、自から積極的にアクセスしていく行動や、変な平等に対してNOと言っていく勇気が必要なのではないでしょうか。

 

住んでいる街の中であっても違う世代やジェンダーの人と挨拶だけでもいいからしてみたり、日帰りで高速で2時間飛ばしていつもと違う場所で本を読んでみたり、風を感じてみたり。

 

自分で行動し、自分の軸を作り上げていくなかに、周りの評価や目にきにすること無く、自分らしい幸せな人生を送れるんじゃないかとあらためて考えました。

 

この本を読んで良かったです。

 

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