本 読書記録 「スノーデン 日本への警告」 エドワード・スノーデン

読書メーターで客観的な読書スピードを把握

 

Rickeyです。久しぶりの本読書記録です。読書メーターで読書記録をアーカイブしています。今の自分の読書ペースは1日あたり28ページという結果でした。ちなみに、5月は1日あたり17ページ。。。朝の5分読書、電車での読書のお影で少しづつ読書ペースはアップしていると思われます。

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組織的犯罪処罰法改正案(テロ等準備罪)が可決されてしまうタイムリーな時に「スノーデン 日本への警告」を読んだ

 

率直なところ、日本での監視社会は既に始まっていて、後を追いかけるような形で法案の整備をしているのかなと思わせるようなスノーデンの警告だった。この本の中で紹介されている日本でのイスラム教徒に対する監視記録、警察のGPSによる操作、ジャーナリストに対する無言の圧力、ネット右翼的な方々による非難中傷の攻撃等々、すでにあらゆる情報がデバイスの発達によってそんなに費用を掛けずにも、個人情報が入手できる状況になっているため、監視をするのが比較的に安価に取り組めるという好条件も重なってきている。そのため、ボタンを1つ押せば、監視できるというような社会になってきてしまっているのである。

組織的犯罪処罰法改正案が可決された頃からちょうどこの本を読み始めた所で、何点か気になったスノーデンのコメントについては、過去のブログ記事にもちょっと記載しておきました▼

 

 

アメリカのNSAは日本語のメールや電話も傍受している

アメリカにはNSA(National Security Agency (米国国家安全保障局)という機関があります。

Wikipediaには以下のように書かれています。

中央情報局 (CIA) がおもにヒューミント (HUMINT; human intelligence) と呼ばれるスパイなどの人間を使った諜報活動を担当するのに対し、NSAはシギント (SIGINT; signalintelligence) と呼ばれる

電子機器を使った情報収集活動とその分析、集積、報告を担当

する。

スノーデンの警告の本の第二部では、このNSAが日本も監視していると警告しています。インターネットの特性上、アメリカの本土を海底ケーブルを通って通過していく構造上、アメリカが情報を集めるのは有利な条件にあるようです。

 

アメリカでのムスリムに対する監視

実際にアメリカではムスリムに対する監視が行われていた。それは911以降、イスラム教を信仰しているだけで監視の対象になったとか。具体的な監視の内容として、モスクの前の監視カメラの設置、ムスリムが多く住むコミュニティーでの活動の把握等をされていたとのこと。911以降、アメリカは一気に「イスラムは悪」というような風潮に覆われてしまいました。

第二次世界大戦の時にも日系人は同じ差別的な経験をしていたとマリコ・ヒロセ氏は指摘します。日本人を先祖に持つというだけで、差別され監視下におかれた日系人。歴史的には大きな誤りだったのですが、同じことが繰り返されているのです。

歴史は繰り返す。結局アメリカも日本もあんまり精神的には成長してないんじゃないかな。。。。

 

日本でのムスリムに対する監視、出てきた資料がすごく詳細!

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書籍後半の中で、青木理さんが登場し、日本でのムスリムに対する監視について説明されていました。青木氏の最初のコメント▼

日本は戦後、CIAやNSAに類する専門の情報機関を持たない状態をずっと維持してきました。これは主に戦前戦中の反省などによるものでしょう。その代わりに、

警察組織の一部部門である警備公安警察が、警察組織としてはアメリカのニューヨーク市警やFBIのような機能を持ち

つつ、事実上の情報機関としてテロ情報を収集しています。

この青木さんのコメントを見て、組織的犯罪処罰法改正案は公安警察のために作られたといっても過言ではないなと考えました。この法案が通ってしまえば、今もたくさん情報を入手しているけれども、それ以上にもっと堂々と突っ込んで操作が出来る。そんな彼らのために「オリンピックが出来ないから」「国際組織犯罪防止(TOC)条約の締結が必要だから」と嘘の理由を並べたんだろうと推察されます。

 

 

インターネット上に流出した外事三課の内部資料がすごい

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青木氏が紹介する公安警察が入手したムスリムに対する監視の書類が詳細なレポートで大変驚きました。

青木氏のコメント▼

ムスリムの監視ではモスクの前のアパートや

マンションを借り上げてカメラを設置し、打破入りする人々を24時間態勢で監視をする。また、それらの人々を尾行し、立ち入り先や交友関係を調べ上げる。

警察の持つ各種公権力なども使ってさまざまなプライバシー情報をかき集めたりするわけです。

本に印刷されていた内部資料はとても詳細でした。モスクに出入りしている人々の国籍、特徴、礼拝への参加者数等々。また要警戒対象の監視については、何時にセブンイレブンに入ったとか、どこからどこの駅へ行ったかというデータまでありました。

これらの捜査方法は「日本の公安警察組織が左翼勢力を関しする際に使っていた手段であり、それらを駆使してムスリムたちを徹底的に監視している」とまとめられていました。

イスラムという理由で監視が行われている実態は一般人はあまり知らない事実ではないでしょうか?今回の法案の可決がこのためというのであれば、何か筋が通るような気がいたします。それにしても、イスラムという理由でマークされるのは、まったくアメリカと一緒ですね。

 

有用な解決策は「独立したメディア」

パネルディスカッションで登場するワイズナー氏は独立したメディアについて、以下のように述べている。

自由な社会がこれまでに生み出した唯一の有用な

解決策は、独立したメディア

です。自由な社会であれ、権威主義的な社会であれ、政府は自らに

都合の悪い情報を隠蔽する傾向

があります。情報を公開すると困ったことになったり、説明責任を問われたりするので、情報を隠す傾向にあるのです。これは

官僚が悪者だからというわけではありません。それが人間の性

です。

まさに、今政府が様々な学園系のスキャンダルを抱えているが、一向にして情報が出てこない。情報公開請求をしたとしても黒塗りの所謂のり弁と言われる資料しか出てこない。この実態を見て、ワイズナー氏が指摘することが、その通りだなと納得してしまった。だからこそ、独立したメディアがチェック機能を果たしていくこと、UKの様に多額の税金が注がれているのだから、それに対するチェックを厳しく追求していくことが必要だなと思った。

 

日本の一般人が公安警察が何をやっているか知らない&メディアの警戒感の薄さ

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私自身、公安警察の存在は名前では聞いたことがあったかが、今回、この本を読んでみて、公安警察の実態の一部を知ることになったのと、それが一部法案の制定にもつながっているのではないかと想像した。情報をあつめる政府機関、公安警察等、彼らがちゃんと管理してくれるだろうと、信じ込むのではなくて、きちんと第三者機関が政府等の公的機関をチェックするような体制を築くことが望まれる。ヨーロッパではホロコーストを教訓として、個人情報を収集することを厳しく制限するようになっている。組織的犯罪処罰法改正案が通るのであれば、そういう情報管理のところをしっかりと議論するべきだったのではないだろうか。

 

青木氏は次のように、述べている▼

この1、2年の間、公安警察が猛烈な勢いで権限を拡大させているのに、それに対する市民社会、そしてメディアの警戒感は非常に薄い。これはおそらくメディアだけの現象ではなく、戦後70年経って日本社会全体が変質していたことも影響しているのでしょう。

中略

日本のメディアは公安警察をはじめとする権力を監視する機能がますます弱まっていると思います。公安警察、あるいは警察のディープな活動実態を知らせてくれるような新聞、テレビ、あるいはフリージャーナリストの活動というのは、正直言って皆無に近いのではないでしょうか。  

 

以上、「スノーデン 日本への警告」の読書記録でした。法案が可決される時にちょうど読んでいた本だったので、なんとなくですが、日本政府が何をしたいのかということがちょっとばかり見えてきたような気がします。

 

公安警察については、青木理さんの書籍が詳しいので、この後読んでみたいと思います。

 

 

 

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